新歓期間はお金が飛ぶ飛ぶ。だけど新入部員はPricelessなので我慢。
今回、初めて本格的に他人の書いた文章をマークアップし、公開する機会に恵まれました。やはり、私が書いた文章と大きな違いがありました。それは、筆者が事前にHTMLその他について全く考慮していないことです。ですから、非常に新鮮な気持ちで作業に臨めたと思います。
HTMLに詳しくない、あるいは全く知らない人間が書いた文章というのは、ここ最近で急激に増加していると思われます。それは勿論、いわゆるBlogの流行によって関連サービスが次々と始まったことにより、文章を入力するだけですぐにサイトとしての体裁を確立し、FTPによるアップロードなどの作業を踏まずに、手軽に文章を公開できるようになっていることが大きいでしょう。結局、「他人の書いた文章をマークアップして公開する」という行為は、MovableTypeなどのツールと大して変わらない作業をしているわけで、そこに人為が加わるか加わらないかの違いくらいしかないのではないでしょうか。
しかし、だからといって完全に機械化することに対しては、私は抵抗を感じます。自分の役割が減るのも嫌ですが、やはり文章構造を最終的に決定するのは人間であるべきだと私は考えるので、最近のWWWのトレンドは、必ずしも良い傾向にあるとは到底思えないのです。ただし、だからといって滅茶苦茶なマークアップを施された文章は論外です。不思議マークアップが氾濫するよりも、Validなソースを吐くツールを使用したほうがマシなのことは、火を見るよりも明らかと言えます。
私がむかし思ったことの一つに、「HTMLとCSSを別々に用いることにより、見栄えと内容を分離できる」という構図と同じように、「執筆とマークアップを別々に用いることにより、内容と文章構造を分離できる」という図式が成り立つかどうか、というのがありました。今考えれば、これはかなりナンセンスな思考です。なぜなら、論理的なな文章構造はそもそも文章中に内在するべきで、そうでない文章は、極めて非論理的なものとなってしまうからです。
ただ、今回の件で思ったのは(やっと本題に入れる)、非論理的な文章に魅力がないかといえば、それは必ずしも当てはまるわけではなく、文章、特に日本語の文章の魅力は、論理と別のところにあることが多い気もします。ここで重要なのは、HTMLに普段から接している人間がWWWに公開する用途で書く文章は、何よりもまずHTMLにおける文章構造を意識して執筆にあたっているか、潜在意識が働いて無意識のうちにHTMLに「引きずられ」ているということになりかねないのではないか、ということです。つまり、「書いた文章を公開する」のではなく、「公開するために文章を書いている」という、創作活動の観点から見て本末転倒と言うべき事態に陥っていることになるといえます。
無論、あまりに論理を無視している文章は、そもそもマークアップが不可能なので、自由奔放に書くということが至上命題というわけではありません。ですが、Blog系のツールはお構いなしにテンプレート(スクリプト)に沿ったマークアップを実行します。そして、そのテンプレートは、おそらく理論的に書かれた文章を対象として書かれていることでしょう。少なくとも、私が設計者ならばそうします。このようにして公開される文章は、HTMLとしてはValidですから、ブラウザなどによる解釈には問題ありません。ですが、マークアップとしては極めて不適切である可能性があります。これはもちろん、非論理的な筆者の意思を100%反映する、機械的マークアップを行ったからに他なりません。これは、最近はさほど騒がれなくなった、IBM社製品の「ホームページビルダー」使用による不思議マークアップに非常に似ています。問題がHTMLの文法からマークアップの適切性にすげ変わっただけです。しかも、今度はNN4で閲覧不可などといった実害が伴わないため、水面下で病理が進行していく可能性があります。私が思う、最近のBlog流行における問題点は、このような機械判断できない箇所に潜んでいるということです。
それに比べて、人間が行うマークアップには利点があります。それはもちろん、文章の論理的校正作業を行える点です。もちろん筆者の意思を最大限尊重する必要はありますが、さじ加減を調節できる点で、機械による全自動マークアップよりも優れていると考えられます。いうまでもなく、マークアップする人間はその機械と同等か、より適切なマークアップを行えることが前提条件となりますが…。このように考えると、私の仕事が明確になってくると思います。要するに、文章の魅力を殺すことなく、HTML的に見て理論的な文章に校正作業によって持っていき、適切なマークアップをする、ということです。
結局、ここまで考察を続けてきて明らかなことは、HTMLを知る者は同時に文章力も問われると言うことではないでしょうか。この手のコミュニティでよく見られる結論に達してしまった感がありますけれども…。しかし、私を捉えて離さないHTMLの魅力は、ここにあると思います。
こんなことを考えながら、妹研究会オタカラリスト…っぽいものを公開しました。